なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

大学最後の年

 四年生になった。勉強は順調に進んでいる。
 前期に学科内のコンペティションがある。

 添島教授のゼミで今迄学んだ集大成とも言うべき成果を全て注ぎ込んだ設計図を完成させた。

「流石だよ。素晴しいの一言だ」

「本当ですか?」

「総一朗の学生時代より格段に良い図面だ。本当に良く頑張ったと驚いているよ」

「ありがとうございます。添島教授のご指導のお陰です」

 私はこの年の最優秀賞を取る事が出来た。

 就職活動をする必要がなかったから私なんかが取れたんだと個人的には思っているけれど……。

 卒業の為の単位も三年生で全て取得していた私は心置きなくコンペに挑戦出来た。

 それでも嬉しい。
 大学生活の全てを勉強の為に注いで来たという自負はある。

 最後の一年間も添島教授の指導の元、更に高度な設計図に挑戦した。

「もう私には君に教える事はないよ」
添島教授はそう言ってくださった。
「和泉製作所の今後が楽しみだよ」

「添島教授のご指導のお陰です。四年間ありがとうございました」

 後は卒業式を待つだけだ。

 この大学で学べて本当に良かった。
 四年間お世話になった全ての人に感謝して私は卒業式を迎えた。

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