なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む
「あぁ、そうだ。秘書としての出勤は明後日からで良い」

「はい。分かりました」

「明日は引っ越し荷物の片付けとクローゼットの衣類を試着しておけ」

「はい」

「僕は明日から出社する」

「えっと、何時にお出掛けですか?」

「なぜだ」

「良かったら朝食を作ろうかと……」

「わざわざ作ってくれるのか?」

「朝から大した物は作れませんけど」

「コーヒーだけで良いよ」

「それでは体に良くないです。ちゃんと食べてください」

「じゃあ簡単な物で良いから」

「分かりました」

「八時半には出掛ける」

「運転手付きのお車がお迎えに来るんですか?」

「いや。自分で運転して行く」

「そうなんですか」

「何か不思議なのか?」

「いいえ」
御曹司は運転手付きの黒塗りのリムジンでも来るかと思ったのになぁ……。
意外と普通なんだ……。



「風呂は湯船に入るのか?」

「いいえ。真冬以外はシャワーです」

「僕もシャワーだ。先に入ってくれば?」

「いいえ。居候は後で結構です」

「誰が居候なんだ?」

「私に決まってるじゃないですか」

「婚約者だと言ったはずだが?」

「それは……」

「僕はそのつもりだ。いずれ結婚したいと言わせるから覚悟しておくんだな」

 何かさらっと凄い事言われませんでした?

 御曹司の頭の中は良く分からないけど……。


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