なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む

初めての二人の夜を過ごす

「あぁ。目を通しておきたい書類があるから、先にシャワー浴びて来いよ」

「あ、はい。分かりました」

 そのまま書斎に入ってドアが閉まった。

「じゃあ、着替えを取って来よう……」

 そういえば部屋着もあったと思ったけど。
 クローゼットを開けて探す。

「えっ? 何これ?」
フワフワな生地で可愛いパステルカラーの上下……。ショートパンツとキャミソール???

「お義姉さん。これで玲於奈さんを悩殺しろと?」
 いや。私が着てもそこまで色気は無いし……。
 こんなので悩殺なんてされないよね?

 でも、あった。カットソーの半袖ワンピース。これにしよう。

 下着は……。
 ラ・ペルラにハンロ。やっぱり高級志向なんだ……。

 引っ越し荷物の中からシャンプー、トリートメント、ボディソープ、洗顔を探し出して、シャワーを浴びに行く。
 バスタオルとフェイスタオルも忘れずに。

 えっと。奥だって言ってたよね。
 この扉かな?
 ピンポーン当たり。

 洗面台広い。鏡も大きい。一流ホテルのスイートのそれと比べても遜色ないってどうなのよ……。

 浴室に足を踏み入れる。
「何これ?」
いったい何人で入るのよ。ジャグジーだよ。これ……。

 いやいや。普通にシャワー浴びよう。

 実家はヒノキの湯船の純和風だから、勝手が違い過ぎるよ。

 ビビっていても仕方ない。
 さっさと済まそう。

 ドライヤーはいいや。早く出よう。


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