なぜ婚約者なのか説明書の提出を求む
父が言った。
「達川常務が図面のデータをお宅に持って行ったんですよね?」
「はい。何処にもない新しい精密医療機器の図面だと……」
「それで?」
「かなりの額で売れるから買って欲しいと言われました」
「それで? もう他社に持って行ったんですか?」
「いいえ。正直迷いました。億単位で、いや、それ以上の金額で他社に渡す事も頭を過ぎりましたが……出来ませんでした」
「では、図面のデータは何処にも?」
「はい。和泉さんにはお世話になって来ました。仕事を回して貰ったり……」
「本当に父が申し訳ありませんでした」
「松田くん。ありがとう。君がお父さんを止めてくれたんだね?」
「僕は昔から和泉さんを尊敬していました。それは今でも変わっていません」
「中学生の君がそう言ってくれた時は嬉しかったよ」
「和泉社長……」
「ありがとう。本当に助かったよ」
「これデータを入れたUSBです。家のパソコンのデータは完全削除しました」
「そうか。君は良い跡取りになるよ」
「本当にご心配、ご迷惑をお掛けしました」
「松田さん、良い息子さんをお持ちですね」
「ありがとうございます。息子に教えられました。人の道に外れた事をする所でした」
松田さん親子は深々とお辞儀をして帰って行かれた。
「達川常務が図面のデータをお宅に持って行ったんですよね?」
「はい。何処にもない新しい精密医療機器の図面だと……」
「それで?」
「かなりの額で売れるから買って欲しいと言われました」
「それで? もう他社に持って行ったんですか?」
「いいえ。正直迷いました。億単位で、いや、それ以上の金額で他社に渡す事も頭を過ぎりましたが……出来ませんでした」
「では、図面のデータは何処にも?」
「はい。和泉さんにはお世話になって来ました。仕事を回して貰ったり……」
「本当に父が申し訳ありませんでした」
「松田くん。ありがとう。君がお父さんを止めてくれたんだね?」
「僕は昔から和泉さんを尊敬していました。それは今でも変わっていません」
「中学生の君がそう言ってくれた時は嬉しかったよ」
「和泉社長……」
「ありがとう。本当に助かったよ」
「これデータを入れたUSBです。家のパソコンのデータは完全削除しました」
「そうか。君は良い跡取りになるよ」
「本当にご心配、ご迷惑をお掛けしました」
「松田さん、良い息子さんをお持ちですね」
「ありがとうございます。息子に教えられました。人の道に外れた事をする所でした」
松田さん親子は深々とお辞儀をして帰って行かれた。