地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「ありがとう、明人くん。持つべきものは友達だね」
「……」

 しみじみと友達のありがたさを実感していると、頭を撫でていた手がピタリと止まった。


 どうしたのかと彼の顔を見る前に、勇人くんが「それでさ」と話題を変える。

 その顔が少し苦笑いだったのはなんでだろう?


「明日か明後日、特に予定が入ってないんだったらちょっと遠くまで遊びに行かねぇ? 遊園地とか、水族館とか」

「え? いいけど……奏にも予定聞いてみなきゃ」

「かなちゃんはいいから」

「へ?」

 てっきり奏も誘われているものだと思っていたんだけど……。


「俺達と美来。三人で行きたいんだ」

「え?」

「三人で。……デートしようぜ、美来」

 勇人くんの言葉に思わず聞き返すと、頭から手を離した明人くんがあたしの顔を覗き込むように言った。


「デート……?」

 繰り返しながら、目の前でニコニコしている同じ二つの顔を見る。

 デートって、基本男女が二人だけで出かけることだよね?
 三人でもデートって言えるのかな?

 そんな疑問を浮かべていると、勇人くんが付け加える。


「休み開けたら美来大変になりそうだし、今のうちにパァッと遊んでおこうぜ?」

「……そうだね」

 勇人くんの言い方から考えると、デートと言いつつ結局のところは三人で遊ぼうってことだろう。

 そういうことなら、お誘いを受けても大丈夫だよね。


「うん、じゃあ三人で遊びに行こうか」

 たからあたしは笑顔でそのお誘いを受けた。
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