地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「……久保くん?」
「……」

 あれ?
 久保くん呼吸してる?

「久保くん⁉」

「っは!」

 あたしの強い呼びかけに止めていたらしい息を吸い込む久保くん。

 むせるようなことはなかったけれど、少し苦しかったのか呼吸を荒くしていた。


「あ、悪い……息止めてんの気付かなかった……」

「ええぇ……?」

 今すぐキスをして欲しいと言ったわけじゃない。
 貰ってくれるかと聞いただけ。

 しかも体の初めてを貰ってと言ったわけじゃなく、ファーストキスをだ。

 それだけなのに呼吸止めちゃうとか……。


「久保くん……前途多難すぎるよ……」

 他の女の子とはキス以上のことしてたのにあたしには出来ないとか……まあ、それだけ大切に思ってくれてるからだって分かってはいるけれど……。

 この分だと、あたしの方からキスしたら本当に息の根を止めてしまいそうで怖い。


「うっ……悪ぃ。……でも、したくないわけじゃねぇからな? 正直言うと、キスしたいとか抱きたいとか、そういう気持ちは今でもあるんだ!」

「っ! う、うん」

 あまりにも純情な反応に、そういうことをしたいとは思っていないのかなと考え始めていた。
 だから直接的な言葉で伝えられたあたしは一気に鼓動が早まる。
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