地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
「あの子の話だと、この辺りで美来を見かけたから声を掛けたらしい。でも何だか様子がおかしくて、いつも一緒にいる友達――しのぶのことだな。しのぶともう一人怖そうな女の先輩と『急ぐから』って校舎裏の方に行ったんだそうだ」

「怖そうな女? 誰だそれ?」

 少なくとも同じクラスの他の友人じゃあないだろう。

 しっかりしたタイプと、なんかいつも明るいやつだったはずだ。
 ……名前は憶えてねぇけど。

「確証はないけど、香梨奈って女だと思う。美来を冷たい目で見てたって言ってたし、そんな風に嫌われてるとなるとその女しか思いつかない」

 美来本人が嫌われてるって言ってたからな、という言葉にちょっとムッとする。

「誰だよそれ、美来を嫌ってる女とか……俺は聞いてねぇぞ?」

 兄だから何でも相談しやすいのかもしれねぇが、そんな相手がいるなら話してくれてもいいのに……。

 不機嫌そうな俺に、奏はジトッとした視線を投げた。

「言いづらかったんだろ? 香梨奈って、お前の元セフレらしいし」

「は?」

 思いもよらない言葉に数秒黙り込む。


 香梨奈……あー、確かにそんな名前のがいたな。

 元々人の名前を覚えるのが苦手な俺は、今でも大事なやつの名前しか覚えられない。

 名前を聞いて聞いたことあるなって思っても、顔が出てこなかった。

 でも、とにかく俺の元セフレが美来を連れ去ったって言うなら……。
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