地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~
 奏と二人ピンマイクをつけて、スタジオ内に立つ。

 まずはここで歌って、校内を歌いながら歩いてハロウィンパーティーのメイン会場でもある体育館に向かう。

「何時でも良いぞ」

 あたしのサポートをしてくれる奏の声に頷きで返して、あたしは一度目を閉じた。


 放送室は閉ざされているから外の喧騒は聞こえてこない。

 でも、今も争いは続いていてどんどん悪化していってる。


 ……ダメだよ。


 この学校の、知っているみんなの顔を思い出す。

 この争いに巻き込まれて、大変な思いをしている。


 ――止めなきゃね。


 信頼できる兄の存在を後ろの方に感じ、胸の奥に支えとなる幹人くんの言葉を思い出す。

 頑張ったあたしを迎えに来てくれる。


 ……強くなって助けに来てくれた幹人くんに恥じないよう、頑張るんだ。


 最後に深呼吸をしたあたしは、優しい願いを込めて口を開いた。


 歌うのは今回も平和を願う歌姫の歌。

 一度目の二年前はただ必死だった。

 二度目の文化祭前日では愛より憎しみに近い激情だった。

 でも三回目の今は、本来のこの歌の思いとリンクする。
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