きみと真夜中をぬけて





「……そんなの、都合よく解釈しすぎだよ」

「逆に蘭は、都合悪く解釈しすぎだな。届いた手紙、一回も目ぇ通してないんだろ」

「それは…」

「蘭が知らないところで、その友達はあがいてるのかもな。蘭が好きそうなレターセット買ってさ、毎月欠かさず届くんだろ?そんなん、どうでもいいやつにしようと思わないよ普通」



ぐっと言葉を呑み込む。そうだといいなって思うよ。杏未にとって私がどうでもいい人じゃなければいいって思う、そう願っている。だけど、でも。



「……人って、嘘つきじゃん」

「そうだね、蘭も」




ははっと笑われ、拳を握りしめた。

嘘をついている。どこらへんが、どんな風に。問いただせば、「人間は発言の8割が虚構である」と言われた。そんなはずはないと言えば、そんなはずがある人もいるんだよな、と言われた。
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