訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

〈待て〉

突然、天から声が聞こえたと思ったら
ガシャンッ!とドラゴンが白い檻に閉じ込められた

『…え?』
〔!? これは…〕

ドラゴンが上を見上げ、アルも苦し紛れに見上げるが誰もいない

〈ドラゴン…、其方は、己には否が無いと申すか〉

いないが、確かに上から声が聞こえる
訳が分からず茫然としてると、ドラゴンはグルルッ…と唸り

〔ならば問う 我に何の否がある〕
〈其方は、そこに伏している者の所業を止められた
 其方が動いておれば、罪の無い人間が死なずに済んだのだ〉
〔この国の人間は過去に我を殺めた者の血筋、そんな者共を救えと言うか〕
〈血筋が繋がっていようとも、其方と人間の事は過去に終わっているのだ
 今を生きている人間に、慈悲を向けようとは思わぬか?〉
〔そんなモノ、此奴等が欲をかいた時点で消え失せておるわ〕
〈…そうか。ならば、そこから出す訳にはいかぬ〉
〔…、何だと?〕
〈其方が、1人でも人間を信じた時、その檻は消える
 それまでは、其方の力を吸い取る様に出来ておる〕
〔貴様…っ、ふざけた事をっ…!〕

ドラゴンは怒り、檻を破壊しようとするがビクともしない

〈無駄だ 例え我等…神と同等の存在とはいえ、所詮はドラゴン
 神が作りし檻は破れん〉
〔く…っ、貴様ぁっ!!〕
〈怒りが鎮まるまでは、暫く他の地へと行っておれ〉

すると
ドラゴンは檻ごと消えてしまった
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