訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
見た目は私達と変わらない
でも書物で読んだ限り、ズメイ国が滅びたのはかなり昔の筈
…って事は

「あの、失礼ですが…」

紫音がおずおずと声を掛ける

「何でしょう?」
「歳は、いくつですか?」

アルさんは首を傾げ

「数えるの止めたので、もう分かりません」

ニコッと笑顔で返される

「それで、どうですか?
 ドラゴンの討伐に力を貸して頂けませんか?」
「…あの」
「はい?」
「何故、私に?」

魔力はある
属性も持ってるから、それだけなら分かるけど
彼は、神獣の事も聞いてきた
この世界に来てから色んな生物や魔物を見てきたけど
ドラゴンなんて…

「シオリ様はこの世に存在する全ての属性を持っている
 それに加え、神獣も使役している
 こちらに帰ってこられて、以前よりも魔力が増していると風の噂でお聞きしました
 きっと貴女様なら力になってもらえると考えたのです」
「…」

お父様を見ると、顔を顰めてる

「…アル殿」
「はい」
「ドラゴンの居場所は分かっておるのか?」
「はい 
 ですので《テレポート》すれば一瞬で目的地に着きます
 シオリ様のお力をもってすれば、討伐もすぐに済みますでしょう」
「…」

お父様が私を見る
コク…と頷けば、お父様も頷く

「分かった 其方の願い、聞き届けよう」
「ありがとうございます!」
「だが、今日は稽古をして疲れておる
 討伐は、明日でも構わんか?」
「はい 構いません」
「ならば、明日までゆっくり休まれよ」
「ありがとうございます」

アルさんが謁見室を出て行った
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