訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜
紫音side
翌日
皆、少しは気持ちを落ち着かせれたみたいだ

「とりあえず、ここから出ないと
 いつまでも休んではいられない」

姉さんはラルフを抱えて話してる

「まず服を変えよ
 アイツ…サタンの力がどこまで広がってるか分からないけど
 少なくとも私は、見た目を隠さないと」
「《ヒュプノ》を使えば済むんじゃねぇか?」
「…それなんだけど、気になってる事があって…」
「? 何?」
「昨日、アイツは言ってた
 『お前色んな力持ってんだな』って
 その後に黒い光を翳された…」

姉さんは俺と蓮を見ると、左目にペンタクルが
…でも

「姉さん、何に変わってる?」
「…顔を変えてる」
「…、駄目だ」

姉さんは困惑の表情で

「…じゃあ」

姉さんの視線が地面にある石に
すると
フワッと浮かび上がる

「《サイコキネシス》は使えるのか…」
「《テレポート》は?」

姉さんは目を伏せて集中するが

「…出来ない」
〔彼奴がシオリの力を封じたのなら
 使えぬのは恐らく、その2つだけであろう〕
「何で?」
〔使えぬのは、敵から己を偽る能力と…敵前から一瞬で消える能力
 我等の動向を探る際に、その力は邪魔であろう?
 そして言っておったな、シオリの闇の魔力を覚えたと〕

ゼルファが姉さんを見る

〔シオリ、お主が持つ闇で彼奴に居場所が知られるだろう
 闇というのは…一度生まれたら容易には無くせぬ
 そして、どれだけ己を制し上手く隠そうとも
 悪魔…それも頂点に位置する彼奴にとっては、見つけるのは容易い〕
「…」
「どうしろってんだよ」

ゼルファがレノに目配せすると
レノは白い狼の仮面を持って、姉さんに見せる
姉さんは手に持ち

「…コレは?」
〔レノとラルフに頼んでおいた、闇を隠す力を持つ…隠闇(かくぐら)の仮面だ
 お主等は最上位の契り…魂の献上をシオリにしておるのだろう?〕
「「!?」」

魂の、…献上?

〔それだけ深く繋がっておる精霊と神獣、…しかも光属性が作りし物ならば
 身に潜む闇を完全に抑え込めるであろう〕
「…分かった」
〔だが、仮面があると言っても
 お主自身も怒りや憎しみ…負の感情を易々と出さぬ様に心掛けるのだ〕

姉さんがラルフをギュッと抱き締め、レノを見る

「ありがとう」

姉さんが仮面を着けてみると
仮面は上半分だけで、鼻と口は隠れない

「ソレ着けてても見えるの?」
「うん。顔は隠せたし、色々と調達しに行こうか」
「「…うん(おう)」」

森を歩く中、蓮にコッソリ話し掛ける

「蓮…、蓮にも見えてる?」
「…、紫音にも見えてるんだな?」
「うん…、何でだろうね…」
「分からねぇが、好都合だな」
「そうだね」

俺達は森を出て、未知の国に入った
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