嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「じゃあ、誰が生贄になっても、干ばつは直らないの?」

「それは……」


もしかしたら、私が行けば、るか様の機嫌は直るかもしれない。

「私が行く。」

「ええ?助かったのに、もう一度行くの?」

ときは、信じられないという顔をした。


「何も苦しい思いをしてまで……」

「苦しくなんか、なかったよ。」

湖にスーッと吸い込まれて、気づいたらあの屋敷にいた。

「私なら受け入れて下さる。私が行くしかないの。」

「つき……」


そう。るか様は、私を求めている。

もう一度、私がるか様のところへ行くしかない。


私は、次の話し合いの時に、皆に分け入った。

「私を生贄にして下さい。」

村人はざわついた。

「つきは駄目だ。水神様が受け入れてくれない。」
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