嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
第16話 私を生贄に
それから毎日のように、るか様に会いに行った。

「るか様。」

「つき。」

るか様も、毎日お社の側に出てくれるようになって、私達は会うと必ず抱きしめ合っていた。

「今日も、つきと会える事、嬉しく思う。」

「私もです。」

見つめ合うその瞳に、私が映っているのが、とても嬉しかった。


「どうだ?生贄の話は、どうなっている?」

「ああ、生贄は白紙になりました。」

「そうか。白紙か。」

るか様は、一瞬ほっとした表情を見せた。

「やはり生贄は、必要ないですよね。」

「うん。」

でも、私は生贄になったから、るか様と出会えたんだよね。

不思議な関係。


「妻は、つき一人でいい。」

そう言ってるか様は、私の頭を撫でてくれた。

「今までも、生贄はたくさんいたのでしょう?」

「それでも、妻にしたいと願ったのは、つき一人だけだ。」
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