嫁ぎ先は水神様~ただ身を投げただけなのに~
「これ以上、そなたをここに止めておくのは、無理なんだろうか。」

「えっ?」

認めた?

私を、元の世界に戻してくれる?

「そなたは、干ばつを直す為に、我のところに来たのだからな。」

「そ、そうよ!」

「干ばつが直らない今、そなたも心苦しいだろう。」

優しい声を掛けて貰えると、胸がぐっとくる。


「いいだろう。一度、元の世界に戻るのも。」

「えっ……」

そう言うとるか様は、立ち上がった。

「残念だが、手放そう。」

私は、目を丸くした。


いざ離れるとなると、寂しくなる。

このまま、るか様と離れ離れになっていいの?

「あの……」

本当は、引き止められて、嬉しかったんじゃないの?

私はるか様から、目を反らした。
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