囚われて、逃げられない
「みんな、聞いてくれ!
前にも少し話していたが、今日から課長として◯◯コーポレーションから転職してきた、光永 泰氏くんだ」

「皆さん、初めまして!
光永 泰氏です。
まだまだ若輩者ですが、信じてついてきてくれたらと思っています。
よろしくお願いします!」

「え━━━━?
光永 泰氏って……光永くん…?」
野々花はあまりの驚きに、動きが止まっていた。

「カッコいい~」
「めっちゃ、イケメン!」
「その上、ヘッドハンティングって凄っ!!」
「しかも、まだ27歳らしいよ!」
「彼女、いるのかな~?」
「いるでしょ?絶対!!」
「だよね~!!でも、目の保養にはいいよね(笑)」

女性社員が口々に話している。
泰氏は一気に、社員の視線や心を奪っていた。

簡単な挨拶が終わり、泰氏が真っ直ぐ野々花の元に来る。
「え……?」
「山道 野々花ちゃんだよね?高校ん時の同級生の」
「覚えてたの?」
「うん、もちろん!
久しぶりだね~!!」
「久しぶり////」
カッコよさが更に増していて、思わず顔が赤くなる野々花。

「嬉しいなぁ。また会えるなんて……!」
「え?嬉しい?」
「うん、ずっと会いたかったんだぁ」

ほんと、美しい人だ。
まさに“光”のような輝きがある。
高校の時からそうだった。
彼は名前をもじって“光源氏”と呼ばれていた。

モテモテで、彼女もコロコロ変わり交際人数も多かった彼。
まさに“光源氏”その物だった。

そんな彼が“会いたかった”と言っている。
これは夢?
思わず、野々花は頬をつねった。

「痛っ…!!」
「ど、どうしたの?」
「いや、なんか夢みたいな事が起きてるから……」

「フフ…相変わらず、可愛いね~
夢じゃないよ!!」
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