囚われて、逃げられない
「みたいだね…!」
「ねぇ、仕事終わったら食事行かない?」
「え?
でもたぶん今日、光永くんの歓迎会があるんじゃないかな?」

「あー、行かないよ!
そうゆうの嫌いなんだ。俺はね、自分が気に入ってる人にしか興味ないから。
それ以外はいらないよ。
ここの連中も、仕事以外では関わりたくないし。
だから、俺に付き合って?」

案の定、歓迎会に誘われた泰氏。
それを丁寧に断り、野々花と食事に来ていた。

「ほんとによかったの?」
「うん、もちろん!」
「それにしても、素敵なレストランだね~
しかも、個室だし。
景色なんか、スッゴい綺麗……」
うっとりとして、窓の外を見る野々花。

「野々」
「へ?」
「…って呼んでいい?」
「え?あ、いや、あの…ど、どうぞ……」
「ねぇ…今日、なんで食事に誘ったかわかる?」
「え?
知り合いだし、懐かしいからとか?」
「ブー!!ハズレ!!」
「え?じゃあ…なんだろ…!?」
「当ててみて?」
「うーん」
「ヒントは、高校ん時の卒業式」
「卒業式?
卒業式………」

“俺、山道さんの事…可愛いって思うよ。
もっと自信持って!!”
卒業式の別れ際、泰氏に呼び止められ言われた言葉だ。
「可愛い…から?
……なんて(笑)
なわけないよね…(笑)!?」
「惜しい!」
「え…!?惜しいの?」

「わかんない?」
泰氏が頬杖をついて、見つめてくる。
か、カッコいい……
「う、うん…////」

「好きだからだよ」
「え?あ、そうだよね。
嫌いだったら、そもそも誘わないよね。
嬉しいな、好意を持ってもらえるなんて////」

「……………野々!」
「は、はい!」

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