囚われて、逃げられない
「それ、いいね!」
「でしょ?」
「でも…そんなわけにはいかないよ?
そんな夢みたいな話だよ。
仕事もあるし……」

「そうだね……
でも…野々が望むなら、いつでも現実にしてあげるよ?」


午後からショッピングしていると、突然声をかけられた。
「野々花?」
「え?池田くん?」
「そうそう!久しぶりだなぁ」
池田は、野々花の頭をポンポン撫でる。

「━━━━━!!!」
「池田くん、久しぶりだね」
「やめろ…」
「元気だった?野々花」
「触るな…」
「うん、池田くんも元気そうだね!」
「話しかけるな…」
「また今度、みんなで飲もうよ!」

「やめろ!!!」
「え……泰氏くん?」

「いい?ちゃんと聞いてね?
野々は“俺の”モノ。
だから今後、話しかけたり触らないで!
これはね“警告”だから!」

「泰氏くん…」
「野々もだよ?
今後、俺以外の人間と話さないで!
じゃないと、とんでもないことになるよ?」
「ごめんなさい…」
「行くよ?」
「うん」

そのままマンションに帰り、玄関に入るなり口唇を貪られる野々花。
「ンンン……んふぅ…」
「あー、胸くそわりぃ…」
「え……泰…氏くん…?」

「せっかく、野々が俺に嵌まって執着してくれたと思ってたのに、ちょっとした隙にさっきみたいに他の人間に関わろうとする……」
野々花を壁に押しつけ、口唇をなぞりながら呟く。
「ごめんな━━━━━」
「もういいや!」
「え?」

「野々のせいで、さっきの奴…排除するからね!」
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