Your PrincessⅡ
 どおん。
 鈍い音が聞こえたので、
 あ、船が壊れたんだなと思った。
 どうして、滝に向かって船を進めてしまったのだろう。

 船は滝の水圧で壊れて大破して、
 バラバラになって、水底へ沈んで行って。
 私は泳げないから、もうアウトだ…。

 ガチガチと震えていたけど、
「カレン―。もう大丈夫だよ」
 という渚くんの明るい声が聞こえたので、
 ゆっくりと目を開けた。

 目の前には、ぽつんと島が見える。
「やっと到着だねえ」
 渚くんの一言に、
 蘭はため息をついて、
 更に、サクラは「良かったあ」と呟いた。

 実は、皆も怖かったのだろうかと感じたけど。
 恐怖が遠のいた瞬間、また吐き気が襲ってきた。

 ようやく、目的地の島に到着した頃には。
 自分の身体は廃人と化していた。
 一人で歩くのがやっとで、陸に上がってもグラグラと揺れている感覚がある。
 その場にしゃがみ込んでしまうと、
 蘭がやってきて、
「大丈夫か」
 と心配そうにのぞき込む。
 そっと手を近づけてきたけど、ぴたりとその手は止まる。
「蘭、俺がカレンちゃん支えるから」
 そう言って、クリスさんが私を立ち上がらせてくれる。
 蘭は戸惑ったような顔をしたかと思えば、
 すぐにイラッと怒った顔になった。
 蘭の隣に立っていたサクラも、こっちを見て「調子に乗んなよ」という嫉妬心丸見えの表情を出してきたので、もう泣けてきた。
 こっちだって、好きでクリスさんに面倒かけてもらってるんじゃないのに。
 ボロボロ泣きながら、咳き込んでしまう。

「海岸近くに、小屋があるから。そこで一泊する」

 蘭の言葉に「了解」と元気よく返事したのはシュロさんだけだった。
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