愛を知らない操り人形と、嘘つきな神様
「うん。零次はすごく優しいんだ」
「身投げをしたのも、海里が巻き込まれると思ったからだしね。まあだからってそんな馬鹿な選択をした零次を許す気はないけど」
「わあ、美和厳しい」
「そりゃそうでしょ。親友の海里をこんなに落ち込ませちゃったんだから」
涙腺が緩んで、酷い後悔の念にかられる。
「……もっと早く、お前らに助けを求めればよかった。そしたら零次を助けられたかもしないのに」
どんなに後悔しても、もう遅い。そうわかっていても、言わずにはいられなかった。
涙が頬を伝う。
もっと早く二人に話していたら。俺がもっと他人を、零次以外の人を信じることができていたら、結果は違っていたのかもしれない。いや、違っていたんだ。間違いなく。
「泣かないでよ、海里。まだあいつが死んだって決まってるわけじゃないんだから」
「そうだよ! みんなで探せば、きっと見つかるよ!」
奈緒が元気よく俺の肩を叩く。
「うん、ありがとう。美和、奈緒」
こんなの虐待をされていた時の俺からしたら、とても信じられない光景だ。
なあ、零次……俺がこんな風に友達に助けを求められるようになったのは、お前のおかげなんだよ。
俺はきっとお前に出会っていなかったら、ずっと人間不信のままだった。
こんな風に誰かに助けられることなんて、一生なかったハズなんだ。
お前がいたから、俺は奈緒と美和に助けを求められた。お前は俺の考え方を、人生を変えてくれた。そんなお前を、俺は必ず見つけ出してみせる。たとえ、世界中を旅してでも。
「すみません、阿古羅零次って人を知りませんか? 俺と同じくらいの背丈で、髪が白くて、脚に障害があるんですけど」
ピンク色の髪の女の人に俺は声をかけた。
「すみません、わからないです」
そう言って、女の人は首を振った。
「これ、一番最近に撮った写真です。裏に俺の電話番号書いてあるので、もし見かけたら、連絡ください」
鞄の中から零次の写真のコピーを一枚取り出して、女の人に手渡す。
「わかりました。早く見つかると良いですね」
そう言うと、女の人はお辞儀をして、俺の前を通り過ぎて歩いて行った。