わたしが最愛の薔薇になるまで

前編

「再婚しようと思うの」

 私――垣之内薔子(かきのうちしょうこ)が告げると、双子の少年は目を見開いた。養子にとってから六年のあいだ、一度も見たことのない表情だった。

「どうして急に?」

 そう言って、双子の弟の咲(さく)が口をとがらせた。ソファに横たわる彼の頭は私の膝のうえにあって、下ろした私の黒髪を指でもてあそんでいる。
 もう十六歳になるというのに、いつまでも甘えたがりだ。

「そんな相手、薔子さまにはいなかったでしょ?」
「それに、あなたは結婚など望んでいなかったはずだ」

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