わたしが最愛の薔薇になるまで
 双子のさがなのか、蕾と咲は離れるのをひどく嫌がる。そのため、部屋は共用だ。
 寝相が悪くても転がり落ちてしまわないように、寝台は、大人が四人は並べる大きさのものを外国から取り寄せてもらった。

 窓際には書き物机が二つ並んでおり、片方の椅子が引き出されたままになっていた。粗雑な扱いを見るに、こちらが咲のデスクだろう。
 かの机のうえでは植物の種子が割られていて、わずかに開けた窓から吹き込む夜風が、植物図鑑をパラパラとめくっていた。

 きょろきょろと落ち着かない私を、寝台に腰かけた咲が見上げてくる。

「それで、お話ってなに?」
「……今日、学長からお呼び出しがあって、二人の学舎に行ってきたのよ。繁華街でよく似た双子が目撃されたそうだわ。二人は、その……カフェーのような盛り場に、出入りしていたの?」

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