わたしが最愛の薔薇になるまで
 私は気ままな未亡人暮らしだが、起きている限り双子がまとわりついてくる。
 遊びが深夜にまで及ぶと翌日の授業に遅刻するため、どれだけ甘えてきても定時になったら離れるようにしていた。

「私は寝ます。あなたたちも早く眠りなさいね。おやすみなさい、蕾、咲」

 立ち上がって頭を撫でると、双子は大人しく目を閉じた。

「「おやすみなさい、薔子さま」」

 ――薔子がいなくなった部屋で、蕾は乱暴に詩集を閉じた。

「なぜ急に再婚なんて言いだした」
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