Tear Flowers〜永遠の約束〜
お母さん
青空が広がる日曜日は、買い物などで家族連れが多く街に出る。そのため、一週間の中で一番街が賑わっているような気がする。

特殊捜査チームの一員であり、ミステリー小説家のフィオナ・カモミールは、特殊捜査チームのリーダーであるシオン・アカツキからもらった資料を手に街を歩いていた。今日も黒いバラの花びら事件を調べていたのだ。見つかったものはゼロだが。

いつもなら、同じく特殊捜査チームの一員でフィオナの幼なじみであるエヴァン・カランコエも隣にいて一緒に事件を調べている。しかし、今日はエヴァンは大学の課題が終わらずフィオナ一人で捜査していた。

「……ここも何もない……」

噴水のある広場で足を止め、フィオナは呟く。子どもたちがはしゃいでいるこの噴水の前で、三年前に女性が亡くなっているのだ。彼女の周りには黒いバラの花びらがあった。しかし、そんな事件のことなどここにいる人は誰も知らないだろう。

街行く人がみんな楽しげに笑う中、フィオナの顔には何も表情がない。目の前の平和な休日が別世界の物語のようだとフィオナは思っていた。
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