Tear Flowers〜永遠の約束〜
私は今、何も感じていない……。この人たちとは違う世界で生きているみたいだ。生まれて、十二歳になるまでは温かい場所にいたのに、急に知らない世界に迷い込んだみたいに全てがなくなった……。

無感情のまま、フィオナの真っ白な心に物語のように文が浮かぶ。一瞬、時が止まったような不思議な感覚を覚えたが、一気に現実に引き戻され、平和で温かいフィオナが失った世界で生きている人々の姿が動いていく。

「少し、疲れてしまったのかしら……」

思えば朝から休まずに歩き続けている。もうすぐお昼の二時を過ぎるというのに、フィオナは昼食すら取っていなかった。それを自覚した瞬間、空腹と喉の渇きを感じ始める。

噴水の広場には、偶然にもサンドイッチとドリンクを売っているキッチンカーがあった。フィオナは迷うことなくキッチンカーへ行き、ツナサンドとオレンジティーを買う。そしてベンチに座って食べようとした時、赤い瞳が笑顔ではない表情を捉えた。
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