さまよう

 今日のボディーガードに連絡をする。これから近くのスーパーへ買い物に行きたいと伝えて出かける準備を始めた。

 まとめて買い物をするために、今日は車で送迎してもらうことに。



「ジャガイモって丸いのと長いのがあるけど、どっちのほうが美味しいのかな」

 翼がスーパーの野菜売り場でじっくりとジャガイモを見比べている。

「よく分からんけど、好みじゃないのか?俺は皮をむくのが楽だから長い奴がいい」

 いつも来るスーパーでは、二人を奇異な目で見る人達も少なくなっていた。

 見た目が不思議だというだけで何か危害を加えてくるわけでもなく、ただ単純に買い物をしているだけだと思ってもらえるようになってきていた。

「十キロの米を入れられる米びつはまた今度だな、別の店に行かないときっと売ってないだろうし」

 レジで会計を待っているときに窓に張られたポスターに気付いた翼。


「お祭りだって」


 二人は祭りとはあまり縁がなかった。幼いころに両親に連れられて行ったことがあったが、指をさされ悲鳴を上げられ、両親にまで非難の声が上がった。

 細かいことはあまり覚えていないが、両親が攻撃されていることに気付いた二人は帰りたいと言って会場に着いて早々に帰宅することになった。

 その後もお祭りに行くかと聞かれることがあったが断り続けてきた。
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