さまよう

 麻未と定期的に会うことを許された由美は、最初のうちは双子と共に出向いていたがそのうち由美だけで会えるようになっていた。

 会話も弾むようになり、笑顔も増えていったのだという。

 麻未と出会った双子は、右手と左手の特殊能力の数値が強くなり、それに比例して二人を包む力の数値はどんどん少なくなっていった。

 見た目の変化も増えていく。それは突然訪れた。



 入浴する際に洗面台の鏡に二人が映っていたのだ。



「うわああああ!」



 大きな声を出してもなお凝視していた鏡には翔とその双子の弟が映っていた。翼が見た鏡の中には翔が映っていた。


 生まれて初めて生で兄と弟を見たのだ。


 あまり好きではなかった写真、それでしか見たことのなかった兄弟が映っている。


 鏡に手を伸ばした翔は、少しだけ目を潤ませた。


 翼は翔に触れようとするがそれは叶わないと知りうつむく。それでもその目と口元は少しだけ潤んでいた。
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