さまよう
とりあえず能力の数値を図ってみましょうと言う医師の指示通り二人はそれぞれ手を出した。
「ふむ…」
二人は一卵性の双子でしたね。そう言って医師は一つの仮説を出す。
「翔くんと翼くんの力は二人とも同じぐらいの能力値を持ってる。最初の予想通り母体に居る時に一つの卵子の中でその力が混ざり合ってしまったのかもしれない。でも、お母さんからの愛情のおかげで包まれたまま産まれてきたんじゃないかな」
二人は改めて向き合い兄を、弟を見つめる。
目の前に兄弟がいる。手を取り合い初めて触れる兄の、弟の体温を確かめる。
堪えることもせずに顔をぐしゃぐしゃにして泣き出した二人は嗚咽を漏らしながら自然と抱きしめあった。
彷徨い捜し歩いていた何かが解ったような気がした。