七夕の夜、二人で見上げた星空
4.事件はおきた

 五月の大型連休が終わって、学校へ行くのが憂鬱に感じてしまう。


 重い腰を上げて制服に着替え、早い時間帯に家を出る。

 地元の高校を退学した私は、少し離れた場所にある学校にバスで通学していた。

 もともと、オシャレをして学校に行こうなんて考えたことも無かったし、朝はバタバタして忙しいので自分を着飾る余裕がない生活をしていた。


 今の学校で嫌なことも色々あったけど、なんとか頑張って通学してる。

 去年の今頃は、不登校ぎみで退学を考えてた時期。

 そんな思いはしたくないと、年下の生徒たちに紛れて学校生活を過ごしてる。


 まだ仲のいい子やグループに入れてない。

 昼休みは自分の席に座り、一人で寂しく食事をしている。


 毎日のように、カーストの子たちが話しかけてくるのには嫌気がさしていた。

 度が過ぎる行動をしてくると、どこからか早瀬さんが現れて上手く彼女たちを引き離してくれる。

 学級委員長という立場なので、私を助けてくれるんだと理解していた。


 友達のように仲良く接してくれる訳でもない、誰とでも少し距離をとるクールな表情の女子。

 年下だけど、美人で優しいお姉さんのような存在。

 
 一年生の学級委員長が昼休みに参加する会議で、早瀬さんが教室を不在にした時。



 事件はおきた……




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