七夕の夜、二人で見上げた星空

「宇佐ぴょん、やっほ~!」


 いつものように自分の席に座って食事をしていたら、カーストの子たちが絡んできた。

 でも、いつもと様子が違って何だか嫌な雰囲気。

 直感で嫌な空気を感じ取ったけど、私は周りを囲まれたまま身動きはできない。


 前の席に座って不適な笑顔を見せながら、私に向かって話かけてくる。


「めんどくさい学級委員長は一年生合同の会議に行ってるしぃ~、先生も全員参加してるんだってぇ~」


「えっ、そうなんですか……」


「昼休みは始まっばかりだしぃ~、一緒に楽しもうよ~!あはははっ!」


 気持ち悪い笑顔でニヤニヤしながら……


 大きな布切りハサミを取り出してる。


「それって……」


 私の顔から血の気が引いていく。

 膝もガクガク震え、恐怖で言葉がでてこない。


「前に生徒玄関で、宇佐ぴょんの足細くて綺麗だから、スカート短くしたほうが可愛いよって教えてあげたの覚えてるかなぁ~」


「……」


「長い前髪も短くして、ちょっとメイクしたら美人になるかもよ~!あっ、バッサリ切りすぎたらごめ~ん!あはははっ!」


 スカートの裾だけじゃなく、髪の毛まで切ろうとしてるの?

 目の前でハサミを開いたり閉じたりジョキジョキしてるし、尋常じゃないよ!

 怖くて声が出ないし、今日にかぎって早瀬さんの姿もない。


 目を閉じた私は、心の中で思わず叫んだ。



 お願い神様、助けてください……




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