夜を照らす月影のように#1
「……」

目を覚ましてみると、目に入るのは見慣れない景色。僕はどこかの森にいるみたいで、木の根元に蹲るように座っていた。

「……ここは、どこだろう……僕は、自殺したはずなんだけど……」

僕は、生きづらさから自殺した……はずだったんだけど、死に切れなかったのかな……?とりあえず、少し探索してみるか。

僕は、立ち上がると森を歩き始める。何だか目線が低いような……?

歩いても歩いても、森の入り口は見えてくる気配はない。近くには泉があって、僕は泉に近づいた。

泉の周りは開けていて、昼寝をするのに丁度よさそうな場所だ。

「……はぁー、どうしよ……」

僕は、近くにあった大きな岩に腰を掛ける。そこから泉を覗いてみれば、そこに映ったのは見慣れた自分の姿じゃない。

サラサラした黒髪に紫の目をした、ファンタジーとかで出てきそうなデザインのローブを着た男の子だった。

「……」

信じたくないけど、僕は異世界転生というものをしたらしい。

僕は岩から飛び降りると、岩に体を預ける。そして、空を見上げた。

「……」

僕が考え事をしているとガサッと音がして、僕は音がした方を向く。茂みから、白髪に黄色の目をした白いニットシャツの上から黒い着物を着た男の子が現れた。
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