私の婚約者には好きな人がいる
「眠っていたから、夏乃子ちゃんは知らないだろうけど」

あれは夢じゃなかった!?
いや、確かに手は暖かいと思っていたけど。
思わず、布団に顔を埋めた。

「ふふっ、それじゃあね。ちゃんとお粥食べるのよ」

「はい……」

豊子さんのせいで熱が上がった気がする……。
それにしても、いいのかな。
恭士さんの結婚相手を探しているのに私と噂になったら、旦那様や奥様はきっと困る。
でも、私は―――ぶんぶんと頭を振った。
何を考えようとしたんだろう。
危なすぎる。

「お粥を食べよう」

豊子さんが土鍋で作ってくれたお粥に梅干しと昆布、塩鮭がついていて、デザートは桃の缶詰を冷やしたものがついていた。
食事を食べ、置いてあった薬を飲むと、眠くなってきて、余計なことを考える前にまた眠ってしまった。
次に目を覚ました時には、どれだけ眠っていたのか、もう窓の外は薄暗い。
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