おもいでにかわるまで
「あ、バイト先にあった適当な瓶に詰めてきたからプレゼントっぽくないけど、一応ホワイトデーのつもり。」

「私はバレンタインあげてないのに悪いよ。でもありがとう。」

「あの・・・。別れたって、最近A組のダチに聞いてさ・・・。だから俺にもガチでワンチャンあんじゃね?みたいな。」

「そ、そうかな・・・。」

「卒業したら・・・二人でどっか遊びに行かない?」

「えっ!?あ、あのね、全然ふっきれてなくてね、忘れなくちゃって言うだけでまだ好きでね、なんか忘れる方が辛くて・・・。だから、すみません・・・。」

「俺にしとけよ。それにどこがいいの?留年してるしなんか暗そうだし・・・。魅力がいまいちわからないんだけど。」

「あはは。確かに。一体どうしてこんなに好きになってしまったのかな。」

「だろ?」

「ただね、私にとっては好きな所しかないんだ。」

「あー、大学生になってもまだバイト続けるから、いつかピザ食べに来てよ。超美味いよ。店の名前は・・・。」

「あ、そうだね。いつかチャンスがあれば友達と行こうかな。」

「後、連絡先とか・・・。」

「あ、ごめん今携帯持ってないんだ。もし用事がありそうだったら、またその友達に聞いておいてね。じゃあもう行くね。」

「うーん・・・。わかった。」

「江崎君。何年も想ってくれてありがとう。後、卒業おめでとうだねっ。」

「え、名前・・・。」

「ちゃんと知ってるよ。じゃあ私行く所があるからまたね。」

ここから4階まで一気に上がろうと、江崎がドアから校舎内に入っていったのを確認してから階段を駆け上った。そしてちょうど3階に行く為の踊り場で水樹は驚いて手が緩み、持っていた瓶を落としてしまった。その拍子にガシャンと瓶が真っ二つに割れて、チョコが散らばった。

「えっ・・・。」

「何やってんの。」

「ごめん・・・。」

江崎との会話を聞いていたのだろうか。

「瓶割れちゃってるじゃん。」

明人はリュックの中をゴソゴソしだし、入れ物を出した。

「それにチョコ入れなよ。それからもう要らないから返さなくていいよ。」

それだけ言うと明人は拾うのは手伝ってはくれずに、下の階まで下りていった。明人は上から下りてきていたので、先生に用事だったのかもしれない。そして留年なのか退学なのか水樹は気になった。

それからチョコを明人がくれた眼鏡ケースにさっと入れ直し、割れた瓶は後で片付けようと端に寄せてまた階段を駆け上がった。
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