お嬢様は恋したい!


「どの部屋がいい?」

ラブホテルの入口で部屋を選ぶなんて、恥ずかしくてどこでもいいから早く決めて欲しい。

「どこでもいいです。」

「じゃあ、これでいいか。」

「慣れてますね。」

平気な顔で部屋のボタンを押し、私を促す鈴木主任の顔を見て思わず言ってしまった。

「いや、慣れてないし。こういうとこ来んの。学生時代以来だし。」

少し顔が赤いのは、酔っているせい?

それとも…

「ほら部屋行くぞ。」

「は、はい。」

案内のランプを頼りに入った部屋は、天蓋付きベッドのあるお姫様みたいな部屋だった。

「なんかかわいいですね。」

「いかにもってとこよりいいだろ。」

ボロアパートの香だと夢みたいな部屋なんだけど、香子の部屋はこんな感じだから、香子に戻っても鈴木主任といられると錯覚しそう。

「気に入らなかったか。」

「そんな事ないです。」

「それとも勢いでここに来た事を後悔しているのか。嫌ならはっきり言え。今ならまだ引き返せるぞ。ちゃんと付き合って、段階踏んで…」

「それ以上言わないで。今ここであなたに抱かれたいです。」

「あとで文句言うなよ。」

噛み付くようなキスをされた。

そのままベッドに押し倒されて、舌を絡ますようにキスをしたまま服を脱がされ、気がつくと下着だけにされていた。

「きれいだ。」

ほぉっとため息をつくようにそう言われて、途端に恥ずかしくなる。

一応かわいい感じのセットとは言え、プチプラのだし。

「や、そんな…」

「隠すな。」

私の両手を左手で頭の上で縫いとめるように押さえると右手でつーっと脇に指を滑らせる。

「ん…」

「気持ちいいか?香の気持ちいいところを探していくから嫌なら言えよ。」

あなたに触られるだけで幸せなんです。

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