お嬢様は恋したい!
何も伝えられなかった。

私が誰の子を孕っているのかも秀介さんにはプロポーズされたけどまだ結婚していないことも。

連絡先の交換もいま一誠さんがどこで働いているのかも聞けなかった。

私…大馬鹿者だわ。

「香子?大丈夫か?」

秀介さんの声で現実に戻った。

いつの間にかオレンジジュースの氷は溶けていて、かなり時間が経っていたと気付く。

「あ、ごめんなさい。迎えに来てくれたんだ。」

「ちゃんと話せたのか。」

私は首を横に振ることしか出来なかった。

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