お嬢様は恋したい!
幕間 side 秀介
初めて会ったのは、社長秘書になった時だから入社3年目の春だった。

7歳下の香子は高校三年生だったと思う。

とにかく娘に甘々な社長に頼まれて、プレゼントを届けたり車で送迎したり…

世間知らずなお嬢様に振り回されるのが不本意でどんどん口が悪くなり、お嬢様と呼びながらもぞんざいに冷たく接していた。

変わったのは家出した後、自分で生活する事を覚えたあたりか。

いろんな事をしっかりと考えるようになったから、政略結婚が嫌なら応援してやろうと考えるようになった。

なったんだが、香子はよりによって婚約者がいる男に恋をしてたった一晩、抱かれて妊娠した。

何やってんだよ。ちゃんと避妊しろよ。

報われない恋の置き土産と生きていこうとする香子にけしかけた責任を感じ、手助けをしようとした俺は、いつの間にか香子に惹かれていた。

自分から頼ろうとしない香子がもどかしく、香子も子どもも守りたいとプロポーズしたのに、成功目前で現れたあいつは、香子の気持ちだけ横から掻っ攫って香子を置いていなくなった。

冗談じゃない。

絶対に見つけて香子の前に引きずって来てやる。

俺の分も殴ってやらなきゃ、気が済まない。

香子には幸せになって欲しいんだ。

それを与えるのが俺じゃないのが、悔しいけど。

東京に戻るのぞみの車中で唇を噛んで、やるせなさを逃していた。








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