人生の相棒~運命の人は突然に現れる~
「えっ、なっ…!?」

これって、破水だよね…?

「き、絹子さん…!」

「すぐにタクシーを呼ぶから待ってて!」

同じように地面に視線を向けていた絹子さんはスマートフォンを取り出すと、電話をかけた。

「ーーうっ…!」

落ち着け…。

落ち着くんだ、私…。

足を伝う温かい水を感じながら、自分に言い聞かせた。

「タクシー、すぐにくるって!

京橋さんにも電話をするから!」

「う、うん…」

声をかけてきた絹子さんに、私は返事をすることしかできなかった。

もうすぐ、生まれてくるんだ…。

どうか無事に生まれてくることができますように…。

心の中で私は何度も願った。

「京橋さん、今からこちらにくるって!

亜月、頑張って!」

私の手を握って声をかけてきた絹子さんに、私は返事をした。
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