人生の相棒~運命の人は突然に現れる~
お腹はペタンとしたままだったけど、この中には私と孝太の子供がいる。

「お笑い芸人として、テレビで見ない日はないって言うくらい売れるようになって…なのに、こんなことで孝太を傷つけたくないし、責任をとれなんて嫌なこともしたくないの…」

売れっ子になった彼の人生を奪いたくない。

私のせいで彼に迷惑をかけたくない。

「――亜月…」

絹子さんがお腹のうえに置いた私の手に自分の手を重ねた。

「産むのよね?」

確認をするように聞いてきた絹子さんに、私は首を縦に振ってうなずいた。

孝太を傷つけるのも、人生を奪うのも、迷惑をかけるのも嫌だけど…愛する人との間にできたこの子を失うのは、もっと嫌だ。

あの夜に孝太を受け入れたのは、彼を好きになったから――ただ、それだけである。
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