人生の相棒~運命の人は突然に現れる~
「何?」

返事をした孝太に、
「仕事が落ち着いてからでいいんだけど、孝太の両親にあいさつに行きたいんだ」
と、私は言った。

「ああ、大丈夫だよ」

「えっ、大丈夫って…」

あいさつに行かなくていいなんて、それはないんじゃない?

そう思っていたら、
「俺、親がいないから」
と、孝太は言った。

「えっ…?」

“親がいない”って、どう言うことなのだろうか?

「俺の過去、長くなると思うけれど聞いてくれる?」

そう聞いてきた孝太に、
「うん…」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「俺の両親は、俺が物心ついた頃からいつもケンカが耐えなかった。

小さい頃は両親のケンカをしている声が聞きたくなくて、いつも押入れに入ってケンカが終わるまでずっと耳をふさいでた」

そう言っている孝太の声は当時のことを思い出したのか、とても悲しそうだった。
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