溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~
ぽろぽろ零れる雫を拭いながら、専務は苦笑いの中に愛おしげな表情を浮かべる。

「泣いたところで俺は何も変わらないよ。ますます君を好きになるし、君を泣かせるようなことを君から遠ざけたいと必死になるだけだ。この先何があったって、君を離せそうにない」

優しい瞳。
愛に満ちた瞳。
熱い眼差しが、婚約者という名の支配者とこの先の難しい事態に怯えた私の心を温めてくれる。

この人とならば、暗く寂しいものと思うしかなかった未来も、変えていける気がする。

「もう後戻りなんてさせない。俺は君を必ず幸せにしてみせる」

抱き締められ、口付けられた。
深くて、熱いキス。あの夜みたいに。

「ん…」

私の唇を楽しむように啄みながら、専務は私をソファに押し倒す。

頬を包んでいた手でゆっくりと私の首筋をなぞり、肩を撫でる。
柔らかさを確かめるように私の腕をさすり、同様に楽しむように舌で舌を嬲られれば、私の意識は熱を帯び始め、甘い心地よさに蕩けそうになる―――ぎゅっと手を握られて、思わず強く握り返した。

好き。

どうしようもなく、この人が好き。

もう専務だけ…雅己さんだけ、いればいい…。

「好きです…」

息も絶え絶えになるような熱いキスの中で、私は熱に浮かされるように告げた。

「私、どうしようもないくらい、雅己さんを愛しています…」

噛みつくようにキスされる。

あとはワンピース一枚を奪い取られ、欲情と熱愛に支配された雅己さんに身を委ねるだけだった。

思いを通じ合わせ溶け合わせた私たちの二度目の夜は、甘くそして熱い幸福に満たされていた。





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