溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~
「差し出がましいのを承知で言いますが、芽衣子さんからは、お父様との関係を伺っておりました」
「…ほう」

俺は芽衣子から聞いていたことを、包み隠さず伝えた。

芽衣子がずっと抱えてきたわだかまりを。

自分は父親の人形だと思い、ずっと苦しんできたことを。

聞きながら、岸議員の顔は暗く沈んでいった。

「人形か…」

ぽつり、と呟いたその声は、議会や記者の前で威厳を持って話している時とはまったく違う、頼りないものだった。

擦れ違いきってしまった娘との関係に途方に暮れる、孤独な父親がそこにはいた。

「確かに私は娘を『人形』にしてしまったのかもしれないな…。すべては私の責任だ。恥と傷からいつまでも立ち直れずにいるプライドの高いだけの無様な男の…」




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