クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「大丈夫ですよ、芽衣子さん。親子が向き合うのに遅いなんてことはありません。だって、子を愛していない親などいませんから」
「……」
「お父上の行為はお父上なりの考えがあってのこと。まずはお話しなさい。そして、お互いを理解するのです」
「…はい」
お母様のそのしっかりとした言葉が私を力付けてくれた。
私は今までずっと父ときちんと向き合ったことがなかった。
父が理想とする女性になれば、いつの日か父は自分に向き合ってくれる―――そう言い聞かせて誤魔化して、逃げていたんだ。
父の傷に触れて癒してあげられるのは、ただ一人の家族である私だけだというのに…。
「父とよく話し合ってみます」
今度ははっきりとした声で返すことができた私に、お母様は満足げに微笑んだ。
「得てして、親の思いというのは子にはうまく届かないものですよ。雅己なんて特に」
「雅己さんがですか?」
「ええ」
お母様はお刺身を口に放り込んだ。
「あの子が子供の時は本当に困ったもので。『日本文化なんてダサい』なんて決めつけて『俺は跡なんか絶対継がない』って好き勝手やって。本当に、私を困らせたものでした」
「今の雅己さんからは想像もできませんね…」
「ああ今思い出しても腹が立つ。こんなことがありましたよ―――」
と、いつの間にかお母様のペースになって思い出話が始まった。
雅己さんの知らない一面を知ることができて私もすっかり意識を持っていかれ、私とお母様の間には再び談笑が甦った。
雅己さんへの愛情と、それと同じくらいに私のことを大切に思ってくださっているお母様と心遣いを知ることができた私は、心の底からこのひと時を楽しむとともに、父と向き合う活力をも得ることができたのだった。
「……」
「お父上の行為はお父上なりの考えがあってのこと。まずはお話しなさい。そして、お互いを理解するのです」
「…はい」
お母様のそのしっかりとした言葉が私を力付けてくれた。
私は今までずっと父ときちんと向き合ったことがなかった。
父が理想とする女性になれば、いつの日か父は自分に向き合ってくれる―――そう言い聞かせて誤魔化して、逃げていたんだ。
父の傷に触れて癒してあげられるのは、ただ一人の家族である私だけだというのに…。
「父とよく話し合ってみます」
今度ははっきりとした声で返すことができた私に、お母様は満足げに微笑んだ。
「得てして、親の思いというのは子にはうまく届かないものですよ。雅己なんて特に」
「雅己さんがですか?」
「ええ」
お母様はお刺身を口に放り込んだ。
「あの子が子供の時は本当に困ったもので。『日本文化なんてダサい』なんて決めつけて『俺は跡なんか絶対継がない』って好き勝手やって。本当に、私を困らせたものでした」
「今の雅己さんからは想像もできませんね…」
「ああ今思い出しても腹が立つ。こんなことがありましたよ―――」
と、いつの間にかお母様のペースになって思い出話が始まった。
雅己さんの知らない一面を知ることができて私もすっかり意識を持っていかれ、私とお母様の間には再び談笑が甦った。
雅己さんへの愛情と、それと同じくらいに私のことを大切に思ってくださっているお母様と心遣いを知ることができた私は、心の底からこのひと時を楽しむとともに、父と向き合う活力をも得ることができたのだった。