溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~
私の父は名前が知られた政治家だ。

代々政治家を輩出してきた官僚入りもしたことがある由緒正しき家の出身で、厳格で冷徹な政治家を絵に描いたような人だった。

父は一人娘である私に様々な教育を施した。

とりわけ、祖先が大名家の血筋だっただけに日本文化に関連した教養を身に付けさせることに熱心で、華道、茶道から通ずる礼儀作法はもちろんのこと、書道や詩、短歌、さらには和装や関連する小物、果ては懐石料理や和菓子まで、日本文化に関するありとあらゆる知識を私に磨り込ませた。

完璧な大和撫子。

父が求めているのは、まさにそれだった。
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