溺愛甘雨~魅惑の御曹司は清純な令嬢を愛し満たす~



ぼうとして、どう帰ってきたかもわからなかった。

茶房紫庵で一カ月びっちりアルバイトをしてやっと払える家賃で暮らすワンルームの部屋には、段ボール箱が梱包途中になった状態で放置されていた。

帰宅したら荷造りをするつもりだったけれど…今夜は動揺しきっていて、手が付けられそうにない。
かと言って、引っ越しはあと一週間後。
それまでにはこの小さな部屋におさまる荷物など梱包し終えてしまえるといいのだけれど…。

私はもう間もなく結婚することになっていた。
相手とは何度かしか会ったことがない。

父が決めた相手だから。
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