クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
ちなみに、窓の外には小規模ながらも庭園を意識して草花を植えており、季節の花々を楽しんでもらえるようになっている。

こういった植栽は都内にあるどんな店舗でも必ず作るようにしていて、「茶会の場に身を置くような」というコンセプトを感じてもらうためのうちのこだわりだった。

ひとしきり写真を撮ってあげた後、彼女はなにやら会話をし始めた。

耳をそばだてると、英語でやりとりしているのが聞こえた。

なかなか流暢だ。彼女は英語が堪能らしい。
外国人客の対応を考慮し、従業員教育の一環に最低限の日常英会話は入れていたが、あそこまで堪能な従業員の存在はありがたい。

それに加えて―――と俺は今度は別の視点で関心をそそられる。

彼女は横顔がとても綺麗だった。
笑顔になる時に、さりげなく手を口元に寄せる仕草も品がある。
俺よりいくつか年下だろうに、その雰囲気はすでに洗練された大人の女性としての美しさがあった。

この時点で、だいぶ彼女に引き込まれ始めていた俺だったが、俺の彼女への関心はこれだけで終わることは許されなかった。

驚かされたのは、彼女が会話を終わらせて席を離れた後だった。
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