クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「あの…先ほどあちらの外国の人達と英語で話されていたようでしたが、どんなお話をされたんですか…?」

気を取り直したはいいがいきなり単刀直入に訊いてしまった俺に、彼女は一瞬不思議そうな表情を浮かべたが、すぐにまた微笑んで、

「お菓子とお茶は、窓の外の様子を楽しみながら召し上がってください、とお話ししたんです」
「外?」
「ええ。先ほどまで晴れていましたが、雨が降ってきました。今の季節らしい優しい雨でお外の紫陽花に良く映えています。その様が今月の新作お菓子とそっくりなんですよとお話ししましたら、大変興味を持たれて。日本にはお菓子で季節の情緒を表現し、味だけでなく目でも楽しませる文化があるのですよとご説明しただけなのですけれど、雨に濡れる花の様子とお菓子を比べてくださっているようですね。どんな感想を持たれたのでしょうか」

と、優しく外国人観光客の見つめる彼女に俺は驚かされる。

日本文化の神髄を理解する深い教養と、それを流暢に英語で説明してしまう語学力。
やはり彼女は只者ではない。
< 55 / 232 >

この作品をシェア

pagetop