クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~
「私…今夜はスケジュールの整理をしたいので…申し訳ありませんが…」

執行役のスケジュール管理には専用のシステムを使っているのだけれど、まだまだ使い慣れてはいなかった。

スケジュール管理はメインであり一番重要な業務だ。
就きたてとはいえ、早く使いこなせるようにならなければ。
もしミスをしたら、専務に大変な迷惑をかけてしまう。

けれども、そんな私の焦りをよそに、専務は屈託のない笑顔を浮かべる。

「スケジュールなんてどうでもいいよ。むしろ全部キャンセルにして、君が淹れてくれたコーヒーを飲みながら君と一日一緒に過ごすって予定に変更してくれてもいいんだけどな」

と、冗談とも本気ともつかないような口調で言うから、困ってしまう。

私は詫びるように目を伏せた。

「せっかくのお誘いですが、申し訳ございません…早くちゃんと業務をこなせるようになりたいんです…」
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