仮面
「お前、今隠し撮りしてただろ」


「な、なんのこと?」


ヘラッと情けない笑顔を浮かべて対応する。


しかし大田はその笑顔が気に入らなかったようで、眉間に深いシワを寄せて恵一を睨んだ。


「とぼけんなよ! 俺は見たんだ!」


大田に突き飛ばされて恵一の体は廊下を吹き飛んだ。


下手したら廊下の端まで滑っていってしまいそうな勢いだ。


大田はまだ手加減してくれているみたいだが、恵一にはたまったものじゃなかった。


「そ、そんなことしてない。僕は、なにもしてない」


必死に左右に首を振って弁解する。


そんな恵一には大田は近づいた。


恵一は近づいてくる大田にゴクリと唾を飲み込んで、すぐに立ち上がって逃げ出そうとする。


しかし、足が滑って立ち上がることができない。


仕方なく四つんばいになって逃げ出すが、すぐに首根っこを掴まれてしまった。


「カメラ隠しただろ」


後ろから大田に聞かれて恵一は懸命に左右に首を振った。
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