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告白
「少し青くなるかもしれないから、よく冷やしてね」


保険の先生は私に氷水を入れたナイロン袋を手渡してそう言った。


「はい」


素直にそれを頬に当てる。


熱を持っている頬がヒヤリとして心地いい。


「私これから会議なの。悪いけど、彼女のこと見ていてくれる?」


「もちろんです」


先生の言葉に頷いたのは黒坂くんだ。


黒坂くんは保健室まで私を送ってきてくれて、そのままずっと一緒にいてくれている。


「じゃ、よろしくね」


若い保険の先生は私へ向けて軽く微笑んで見せると書類を持って部屋を出ていってしまった。


途端にふたりきりになって、緊張した雰囲気が降りてくる。


私は居心地の悪さを感じて居住まいを正した。


「今日は災難だったね。突然殴られるなんてさ」


「そうだね。真純はきっと虫の居所が悪かったんだと思うよ」


黒坂くんは真純が突然私を殴りつけたように見えたみたいだ。


幸いにも私がスマホの動画を見せて3人を煽ったことはバレていない。
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