追憶ソルシエール

「俺らだけみたいだね」

ははっと笑う伊吹くんに、そうだねとありきたりな返事をする。実質私だけだ。


「伊吹くんこのあと予定とかなかった?もしあれだったら私が伊吹くんのも書いて提出するよ」

「大丈夫。予定ないしそれに字でバレると思うけど? 岩田めっちゃ字きれいじゃん」

「そこをなんとか伊吹くんの字に寄せて…」

「汚く書くって?」

「そういう意味じゃないよ!」


からかうように笑う伊吹くんは意地悪だ。私の字が綺麗とか言うけれど伊吹くんだって綺麗なほうだと思う。前に授業で当てられてノートを借りたときも読みやすかった。


「岩田こういうの初めて?」

ひらひらと紙を手に持つ伊吹くんに、うんと頷く。

「どうやって書けばいいかわかんない」


高校生活も半分以上が過ぎた今、初めて反省文というものに直面した私は一文目をどう書こうか迷っている。最初の一文が書ければ後はスラスラと流れるように出てきそうなのだけど、それが難しいのだ。


「真面目だなー。こういうのは適当に書けばいいんだよ」

ほら、と見せられた紙。目を凝らして見れば、一文目には、風紀を乱してしまいすみません。のひと言。
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